陰雑記

日陰者の日記・陰弁慶の陰口

哲学(?)の記事

 いつ頃からだったか、Google Chromeを開くとニュース記事が表示されるようになった。検索履歴とかから選定されているらしく、「こんなにすごい哲学」「哲学でお悩み解決」「哲学があなたを救います」みたいな記事がやたら出てきて、正直不快だ。

 哲学は何らかの目的に至るための手段ではないのだ。「こういう悩みがあって解決したい」→「そんなあなたにうってつけ、昔○○という哲学者がいて、こんなことを考えて、こんな格言を残しましたぁ。どうです? これを読めば心が軽くなるでしょう」……というような流れで提示されるものは、ただのそういう助言であって哲学ではない。

 「ちょっと考え方を変えてみましょう」も哲学ではない。哲学はもっと融通が効かないものだ。考えを変えて悩みを解消するより、悩みにしがみついて延々と考える方がどちらかというと哲学らしい。だからこういう記事は哲学によって悩みを解決しようとしているのではない。詐称だ。そこが不快だ。

 哲学でお悩み解決は、まあできるといえばできるが、それを目的としたものは哲学ではない。飽くまで副次的効果だ。

 むしろ悩みなんぞ関係なく、一から考えねばならないのだ。個人的感情は(なるべく)抜きだ。「混迷した時代を生きるために必要な哲学」とかいうのもあったが、混迷していようがいなかろうが関係ないものを考えるのが哲学だ。そもそも、混迷していない時代など今まであったのか?という疑問もあるが。とにかく、私が悩んでいようがいなかろうが関係ないのが哲学だ。哲学は予めゴールを決めておくものではないし、最短距離でどこかに行き着くことを求めるものでもない。

 というか、取って付けたような偉人の格言で救われる人というのは本当にいるのか? 馬鹿にされたような気分になって終わりだと思うんだが。単純にその点からも不快だ。それで解決される悩みって、そもそも悩みじゃないのではないか。

 深刻に悩んでいる人が哲学に救われることがあるとしたら、その人が自分で考えた場合だけだろう。ヒントが欲しいなら読書すべきだ。変な記事は要らん。